勝又 拓也さん(アキュムレーター)

株式会社 新成製鑵 代表取締役社長

「憧れるのをやめ、自分の弱さと向き合う」——3代目アキュムレーター経営者が辿り着いた境地

1. 「お前はダメだ」と言われ続けた日々からの脱却

私は、祖父が創業し、父が継いだ会社の3代目として経営を担っています。父が急逝したことで、いわば「繰り上げ」のような形で社長に就任しました。

就任当初、私の中にあったのは強い不安でした。生前、父からは毎日「お前はこういうところがダメだ」と怒鳴られ続けていたからです。従業員たちも、そんな私の姿を見て「この新しい社長で本当に大丈夫か?」と疑念を抱いていたに違いありません。

自分に自信が持てず、「果たして自分に経営がつとまるのか」と自問自答する日々。そんな時、クリエイターである妻を通じて出会ったのが「ウェルスダイナミクス」でした。

2. 「強み」の理解がもたらした、経営スタイルの確立

以前からストレングスファインダーなどを通じて自己分析はしていましたが、ウェルスダイナミクスはさらに具体的でした。特に大きな気づきは、自分のプロファイルである「アキュムレーター」に適したリーダーシップの形があるということでした。世の中的には、華やかな「スター」タイプの経営者がもてはやされがちです。私の父も、本来のタイプを押し殺して無理にスターのように振る舞い、苦労していたのではないかと今は感じます。

私は、目立つ主役になろうとするのをやめました。代わりに、「サーバントリーダー(支援型リーダー)」として、一歩引いてチームを支えるスタイルを意識的に取るようにしたのです。これが自分にとって最も自然で、かつ結果が出るやり方だと確信できたことは、経営者としての大きな「答え合わせ」になりました。

3. 「他人は強み、自分は弱み」にフォーカスする

ウェルスダイナミクスを深く学ぶにつれ、私の視点は「強み」から「弱み(課題)」へと変化していきました。

他人に対して:
「この人は何ができないか」ではなく、「何が強みか」を徹底的に見ます。クリエイター気質の新入社員には新しい挑戦を、着実な作業を好むテンポタイプには安定した業務を。プロファイルという言葉は使わずとも、「あなたのここを頼りにしている」と具体的に伝えることで、チームの力は最大化されました。

自分に対して:
逆に自分自身に対しては、「アキュムレーターだから人前に出るのは苦手、だからやらない」といった言い訳を封印しました。経営者として、スペクトルを上げていくためには、苦手な領域も認識した上で、どう戦略的にカバーするかを考える必要があるからです。

「苦手な理由」が理論的に分かっているからこそ、感情的に避けるのではなく、納得感を持って一歩踏み出せるようになりました。

4. 守成(しゅせい)という名の攻め

創業者が「0から1」を作るクリエイターなら、2代目・3代目の役割は、築かれたものを守り、発展させる「守成」にあります。他人の華やかな成果に憧れるのをやめ、自分のプロファイルをベースに、着実に会社を支える。無理に自分を偽らないことで、経営のストレスは劇的に軽減されました。

アキュムレーターの経営者は、世の中的には少ないかもしれません。しかし、「自分を知り、弱さを知る」ことで、派手さはなくとも、誰よりも強固な組織を築くことができる。ウェルスダイナミクスは、私にその勇気を与えてくれました。